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政策最新キーワード

餃子と組織文化

久保 真人 投稿者 久保 真人 : 2008年2月12日

今のキーワードは“餃子”、これしかないだろう。と言っても、北京風秘伝のレシピを大公開という話ではない。組織文化の話である。

昨年は、正月早々の「不二家」に始まり、「白い恋人」、「赤福」、そして、「船場吉兆」など偽装発覚が相次ぎ、長年食の世界に君臨してきた老舗であっても信用ならんぞということを、全国民的にしみじみと感じた一年であった。今この時期、ご存じの通り、マスコミ報道は、“餃子”一色に染まっている。この事件そのものは、偽装と言うよりも、安全管理(最近の報道によると、誰かが意図的に毒物を混入したという物騒な可能性も取りざたされているが)の問題であるが、食品メーカーへの不信感に拍車をかけたという点では、同じ流れにある。

ここまでくると、どの企業も、表とは違う“裏の製造ライン”を持っているようにも思えてくるが、おそらくは(希望的観測ではあるが)、安全で良質な食品を提供し続けてくれている企業も少なくはないだろう。正直、偽装や手抜き管理で得られる “ぼろ儲け”に心が動かない企業はないだろうが、この誘惑を断ち切る企業と手を染めてしまう企業には、どこに違いがあるのだろうか。両者を分かつ決定的な要因の一つが組織文化である。

組織文化とは、組織のメンバーが共有している行動のパターンや価値観を指す言葉である。長年にわたって高いレベルの製品やサービスを提供している組織には、優れた組織文化が浸透していると言われている。何が“優れた”文化かをめぐっては、さまざまな議論があるが、“組織大事”の価値観は、よい組織文化にはなりえないと言われている。なぜなら、「会社のため」とか「業界トップになる」(介護事業だけでなく本業の人材派遣業でも違反行為を繰り返していた企業がこのような目標を掲げていたと思うが)と言っても、人によって理解の仕方が大きく異なるからである。「よい材料を使っておいしい餃子を作ることこそ会社の発展につながる」と考える人もいれば、「製造コストを下げて利益率を上げることこそ・・・」と考える人もいる。また、実際に業界トップになったところで、目的を見失い迷走してしまう企業もあるだろう。このように、企業本位の、あいまいな目標は、メンバーが等しく共有する価値観にはなりえないのである。

その反対に、ゲストの“最高の笑顔”のみがゴールだと言いきる組織に“誤解”はない。ゲストを喜ばせるやり方に個人差はあっても、その気持ちはメンバー全員から等しく伝わってくるはずである。また、「改善」という単純、けれども奥の深い目標を掲げ、世界的企業に昇りつめた日本の自動車メーカーも、優れた組織文化を持つ企業の一つであろう。

はっきりとした誰にとっても高い価値を持つ目標を掲げ、それを組織の末端にまで浸透させえた組織こそ、優れた組織文化を持つ組織であり、長年に渡って高いレベルの製品やサービスを提供し続ける組織なのである。食は、私たちの“命”の根幹を支える製品だからこそ、このような優れた組織文化を持った組織にこそ担って欲しいものである。