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政策最新キーワード

焦点の道路特定財源、維持それとも見直し?

田中 宏樹 投稿者 田中 宏樹 : 2008年2月25日

道路特定財源

通常国会の最大の焦点となっている、道路特定財源の見直し問題。現行制度の維持を求める政府・連立与党と、制度見直しを訴える野党・民主党との間で、激しいつばぜりあいとなっている。

ガソリン価格などに上乗せして徴収されている道路特定財源は、本則の税率(24.3円/ℓ)に、ほぼ倍の税率が上乗せされる形で徴収されており(これを暫定税率という。本則税率と合わせて48.6円/ℓ)、国と地方あわせて約5兆円の税金が、高速道路や一般道路等の整備に充てられている。小泉内閣時代に、道路以外にも利用できるよう(これを一般財源化という)閣議決定されたが、福田内閣になって方針転換(?)となったのか、「道路はまだまだ不足しており、道路特定財源は必要」との主張が、連立与党の大勢を占めるようになった。

それに対し、「道路特定財源は、政治家と役所の既得権の象徴。暫定税率を廃止し、ガソリン価格を引き下げるべき」と主張するのが、民主党。道路特定財源が、マッサージ機の購入やミュージカルの開催費用などにも使われている点を指摘して、政府の姿勢を批判している。暫定税率の維持には、3月末に国会で法律を通す必要があるので、そこで反対、税率の引き下げをもくろむ。

この問題を考える鍵は、必要な道路整備の量と費用との見積もりである「道路整備中期計画」の妥当性である。道路特定財源が余らないのは、今後、10年間に日本全体で14,000km、59兆円の費用をかけて道路を整備することが前提となっているためである。小泉内閣では9,342kmで打ち止めとなっていた整備量が、1.5倍に膨らんだかっこうだ。これを、過大とみるか、適当とみるか。道路特定財源の見直し問題は、「今後、道路整備がどれくらい必要か」について、骨太な政策論を展開していく中で、決着をみるべき問題である。

地方の首長の中にも、必要な道路もあれば、無駄な道路もあると主張するものが少なくない。一律に必要・不必要と単純化すれば、かえって議論が混乱する。「道路整備中期計画」の積算根拠を明確にして議論する、それが明確でないならば、洗い直しして計画を精緻化することが必要であり、財源論はそれとのセットでないと意味がない。議論を深めるだけの時間がないなら、今後10年とした特定財源の維持期間を、とりあえず1、2年に短縮し、その後の扱いについては次回の総選挙で民意を問うのが筋ではないだろうか。

餃子と組織文化

久保 真人 投稿者 久保 真人 : 2008年2月12日

今のキーワードは“餃子”、これしかないだろう。と言っても、北京風秘伝のレシピを大公開という話ではない。組織文化の話である。

昨年は、正月早々の「不二家」に始まり、「白い恋人」、「赤福」、そして、「船場吉兆」など偽装発覚が相次ぎ、長年食の世界に君臨してきた老舗であっても信用ならんぞということを、全国民的にしみじみと感じた一年であった。今この時期、ご存じの通り、マスコミ報道は、“餃子”一色に染まっている。この事件そのものは、偽装と言うよりも、安全管理(最近の報道によると、誰かが意図的に毒物を混入したという物騒な可能性も取りざたされているが)の問題であるが、食品メーカーへの不信感に拍車をかけたという点では、同じ流れにある。

ここまでくると、どの企業も、表とは違う“裏の製造ライン”を持っているようにも思えてくるが、おそらくは(希望的観測ではあるが)、安全で良質な食品を提供し続けてくれている企業も少なくはないだろう。正直、偽装や手抜き管理で得られる “ぼろ儲け”に心が動かない企業はないだろうが、この誘惑を断ち切る企業と手を染めてしまう企業には、どこに違いがあるのだろうか。両者を分かつ決定的な要因の一つが組織文化である。

組織文化とは、組織のメンバーが共有している行動のパターンや価値観を指す言葉である。長年にわたって高いレベルの製品やサービスを提供している組織には、優れた組織文化が浸透していると言われている。何が“優れた”文化かをめぐっては、さまざまな議論があるが、“組織大事”の価値観は、よい組織文化にはなりえないと言われている。なぜなら、「会社のため」とか「業界トップになる」(介護事業だけでなく本業の人材派遣業でも違反行為を繰り返していた企業がこのような目標を掲げていたと思うが)と言っても、人によって理解の仕方が大きく異なるからである。「よい材料を使っておいしい餃子を作ることこそ会社の発展につながる」と考える人もいれば、「製造コストを下げて利益率を上げることこそ・・・」と考える人もいる。また、実際に業界トップになったところで、目的を見失い迷走してしまう企業もあるだろう。このように、企業本位の、あいまいな目標は、メンバーが等しく共有する価値観にはなりえないのである。

その反対に、ゲストの“最高の笑顔”のみがゴールだと言いきる組織に“誤解”はない。ゲストを喜ばせるやり方に個人差はあっても、その気持ちはメンバー全員から等しく伝わってくるはずである。また、「改善」という単純、けれども奥の深い目標を掲げ、世界的企業に昇りつめた日本の自動車メーカーも、優れた組織文化を持つ企業の一つであろう。

はっきりとした誰にとっても高い価値を持つ目標を掲げ、それを組織の末端にまで浸透させえた組織こそ、優れた組織文化を持つ組織であり、長年に渡って高いレベルの製品やサービスを提供し続ける組織なのである。食は、私たちの“命”の根幹を支える製品だからこそ、このような優れた組織文化を持った組織にこそ担って欲しいものである。