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政府系ファンドとは?

根岸 祥子 投稿者 根岸 祥子 : 2007年12月11日

最近の新聞やニュースで頻繁に取り上げられている「政府系ファンド」が、国際金融市場において存在感を増しています。政府系ファンド(以下SWF:Sovereign Wealth Fund)とは、中東の産油国、中国、ロシアなどの新興国が自国の外貨収入の運用を行なうために、政府によって設立されたファンドです。

産油国系のSWFは、原油輸出から得た外貨収入の運用を目的としています。そもそも、サウジアラビアやクウェートが、原油価格の変動に左右されがちな収益の安定のために、1950年代に設立したのが始まりです。中国では、拡大する貿易黒字や、人民元売り(ドル買い)介入から得られるドルを運用するため、2007年9月にSWFを設立しました。

SWFの運用資産規模は2兆5000億~3兆ドルにのぼるといわれています。当初、これらの資金は主に米国などの国債で安定的に運用され、先進国の経常赤字を埋める役割を果たしていました。しかし、2003年以降の原油高や新興市場の急速な経済成長によって、多くの新興国において外貨獲得が急増し、より高い利回りでの運用を求めるようになりました。今日では、多くのSWFが、資産運用アドバイザーとして大手外資系金融機関を雇い、リスクを伴う株取引や、先進国企業に対するM&A(企業合併・買収)を積極的に行なっています。

新興国は、先進国企業を買収することで、高度な技術を自国産業に移転することができますが、一方で、先進国は自国の基幹企業や安全保障上重要な戦略企業が買収されることを警戒しています。開発途上国の企業を買収することによる市場支配の可能性もあるでしょう。また、国家の意向が投資活動に直接反映されることから、SWFが政治や外交の場に利用されることが危惧されています。

このように、SWFの役割が増す一方で、SWFを通じた新興国の戦略的投資活動を「国家資本主義」と呼び懸念を抱く人たちもいます。SWFを国際金融市場において最も有効に活用するためには、その資産規模や運用手法等に関する透明性の向上、ガバナンスの強化、及び周辺の法制度の整備が必要です。その制度設計やモニタリングにおいて、国際金融機関が果たす役割が期待されます。