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政策最新キーワード

カジノと教育

足立 光生 投稿者 足立 光生 : 2007年7月9日

日本経済新聞を読んでいると気になる記事に遭遇しました。渋谷に「ディーラー相手にルーレットやカードゲームが楽しめる疑似カジノが登場した。チップの換金はもちろんできないが、雰囲気は本場さながら」だそうです(日本経済新聞2007年6月15日『ゲーセンでカジノ気分』より)。この記事を「楽しそう!」と読み流す人は多いでしょう。ただし、いま一度考えてほしいのは、この記事が示すようにわが国にはカジノがないという事実です。ルーレットやカードゲーム等は、行為自体が可能であっても、換金は「おあずけ」状態です。数年前に、各地で「経済特区」を利用したカジノ誘致フィーバーが起きましたが、賭け事を禁止する法律(刑法185条等)が大きな壁として立ちはだかっています。

忘れてならないのは、カジノが許可されていない一方、日本はまぎれもなく「ギャンブル大国」であるという事実。パチンコ産業は大いに成功しています。競馬、競艇、競輪、・・・、望むならば、いやというほどできます。競馬やパチンコは刑法の賭博規制に対しての「抜け道」が法律として用意されているのです。それに対して、ルーレットやカードゲームでお金を賭けることには「抜け道」が用意されていません。通常、「その賭け事が許可されているか否か」は法整備の有無で説明されますが、より本質的な論点(行為自体の良し悪し)で説明されるものではありません。そこには社会の矛盾が垣間見えます。

だからといって「カジノを即刻解禁せよ!」と主張しているのでは決してありません。間違ってもカジノは単なるアミューズメントではありません。一歩誤れば人生の破滅や犯罪の温床になる可能性も高く、何の準備もない解禁は国民にとって危険極まりないものです。もしカジノが解禁されるのであれば、遊戯施設が整備されるのと同様に、国民の知的インフラも整備されなければならない筈です。

私の専門は金融や証券に関する分野であり、この数年「国民に必要な投資教育はいったい何か」を考えてきました。それは近年複雑な仕組みを持つ金融商品が個人投資家にも販売されるようになり、誰にでも的確な金融知識が必要とされるようになってきているからです。同じように、もしカジノが解禁されることになれば、未来の大人、すなわちこどもたちに向けて的確な教育プログラムが策定されるべきではないでしょうか。たとえば、一定の確率論に関する知識、射幸心の制御(己の欲求にどのように向かい、どのようにコントロールするか)に関する知識等は、カジノを受け入れる前に国民全体に教育されている必要があります。また、そのような教育を通じて、こどもたちが自らについて深く考え、現代社会の仕組みを理解する機会につながれば、カジノは(財源確保や地域振興といった役割だけでなく)間接的に社会の発展を担う存在になるでしょう。

カジノに関してまだまだ前向きに計画している団体がいくつかあるようです。設計されているカジノが国民の側に立ち、国民に学ぶ機会を提供する場であるよう願います。