こちらに共通ヘッダが追加されます。

TOP教員紹介 > 木場 紗綾 助教(教員紹介)

教員紹介

教員紹介担当科目・演習紹介

木場 紗綾 助教

きば さや 木場 紗綾 助教

専門分野東南アジアの市民社会と政治、民軍協力(civil-military cooperation)
研究室渓水館222号室



専門分野について

 私は東南アジア政治研究を専門とし、日本や各国の東南アジアに対する外交・援助政策、国際協力をめぐる国内外の調整、NGOや社会運動のダイナミックスに関心を持っています。
 私の研究は、以下の2つに大別できます。
 第一は、フィリピンとタイを中心とする住民参加・都市住民運動に関する研究です。所得格差・教育格差の激しい東南アジアでは、社会のあらゆる場所で利益や価値観の対立が発生し、それが政治に反映されます。
 「裕福な大地主と貧しい農民」、「大資本家と非正規労働者」といったわかりやすい対立だけではなく、市民社会の諸アクターの中でも、たとえばNGO同士の間でも、対立や競争が起こります。貧しい人々を「支援する」立場であるNGOと「支援される」立場の貧困層の間にも、さまざまな衝突があります。私がマニラの複数のスラムで住み込み調査をするなかで明らかになったのは、スラムの住民は決して支援を待っているだけでも、与えられるものを黙って受け取るだけでもなく、実にしたたかで貪欲で、教育がなくても立場が弱くても、政治家や官僚やNGOを相手に、自己の利益を最大化するためにさまざまな取引を行っているということでした。彼らは、スタディツアーなどでスラムを訪れる外国人をも冷静に観察し、なかには、外国人を相手にどのように振る舞うか「練習」することすらあります。その国の統治や選挙結果はもちろん、援助の効果にも結びつくこれらの対立、さまざまな社会階層の人々の置かれている立場、戦略、そして政治行動を理解するには、理論とフィールドワークの両方が必要となります。
 第二に、国際協力の現場におけるダイナミズムや、国益を追求する外交のリアリティを、国際協力の「政策」にどう反映させることができるかという研究をしています。自分自身が日本大使館、国会議員事務所、NGOなどで勤務してきた経験から、異なるセクター間の対話、産学官交流、学際的かつ総合的な視点からの政策分析を重視し、地域へのフィールドワーク、および、政策決定に関わるアクターへの直接の聞き取り調査を方法論として採用しています。ここ数年は特に、自衛隊を含む軍組織が他国での人道支援・災害救援に関わる機会が急速に増加したことを受け、民軍協力(civil-military cooperation)を研究テーマのひとつにしています。防衛省-自衛隊や東南アジアの軍組織への聞き取りを実施しており、南スーダンでのPKO活動、2013年にフィリピンに甚大な被害をもたらした台風「ハイヤン」への支援など、国際機関、NGOなどと共に日本の外務省、防衛省-自衛隊、JICAなどが協働・調整を行った事例を分析し、2013年12月に閣議決定された国家安全保障戦略に示された「政策」と、国際協力の現場のリアリティとの間のギャップや課題を掘り下げています。
 また、災害救援や農村開発に依然として軍が大きな役割を果たしている東南アジアの各国における、文民政府機関や地方自治体と軍との政軍関係(civil-military relations)に関する研究、国際緊急援助の送り出しと受け入れにかかる多国間枠組みに関する研究も行っています。

プロフィール

 京都市生まれ。同志社大学法学部中退、同志社大学法学研究科修了、神戸大学大学院国際協力研究科修了。政治学博士。
大学院時代にフィリピンに留学して以来、通算7年間ほどマニラで、3年ほどバンコクで生活しました。通訳(英語、タガログ語)、在フィリピン日本国大使館専門調査員、フィリピン大学第三世界研究センター研究員、チュラロンコン大学アジア研究所研究員、衆議院議員秘書、NGOのプロジェクトオフィサー、在タイ日本国大使館専門調査員などを経て、2015年4月に同志社大学政策学部に着任しました。趣味は旅行、サイクリング、東南アジアのストリートフード発掘、フィリピンの海でのスキューバダイビング、タイ楽器の演奏など。

メッセージ

 ひとは「得体の知れない状況」に直面すると不安をおぼえますが、自分の状況を納得のいくストーリにして言葉で説明してもらえると、混乱が整理されます。私たちが学びつづけるのは、世の中に起こる出来事を少しでも多く、自分で整理し、説明できるようになるためだと、私は考えています。他者の言葉を聞いて理解し、相手の行動を裏付ける論理を理解する。私たちはそれを、大学だけでなく、これからの人生の中でずっと学びつづけます。大学で身に着けるべきアカデミックな考え方とは、それらすべての基礎となるものだと思います。ぜひ皆さんも、授業の単位数でも、サークルの人間関係でも、アパートの契約でも、アルバイトの雇用形態でも、ふとした瞬間に、特に理不尽に直面したときに、なぜそうなのか、どんな材料と理論があればそれを説明できるのか、立ち止まって考えてほしいと思います。  学問と就職、アカデミックな思考と実務は、決して別物ではありません。米国では、政権交代のたびに、政権を支える人材がまるで「回転ドア」のように入れ替わり、政治家、官僚、大学、民間企業、シンクタンクといったさまざまなセクターを移動する人々が社会を支えています。私が学んだフィリピンでは、議員や弁護士やジャーナリストやNGO職員が当然のように学会で報告し、大学教員と対等に議論し、夜のゴールデンタイムのニュースや討論番組にはNGO職員が登場し、大学教員より明瞭なくらいのロジックで政治評論を行っています。学問は研究者のためのものだけではなく、実務は実務家のためのものだけではありません。皆さんが広い視点で政治や政策を捉え、多様なキャリア・パスを視野に入れられるようサポートしたいと思います。